陰翳礼讃310 自省録まとめ

風が吹き地面に散る木の葉、人の世もまた似たようなもの

運命がもたらすものを歓迎せよ

慎み深く満足した人生を送ってきたことを、もし他人が認めなかったとしても

それに対して怒ることはない

自然が生み出すものはみな美しい

評判など無意味だ

高所から眺めてみよ

過ぎ去った世代に生きた人々の生活や、

これから生まれてくる世代の人々の生活を

いかに多くの人が君のことを今賞賛しているのに

たちまちのうちに君を非難するようになることか

死後に名前が記憶されることに意味はない

肉体がまだもちこたえているというのに魂の方が先にくたばってしまうとは

健康な精神はどんなことでも受け入れられる

死と生、成功と失敗、苦痛と快楽、富と貧困、こういったものはすべて善人にも悪人にも等しくもたらさえるものだ

正義をなすには忍耐が必要

いままでどれだけ多くの人々が互いに敵対しあい、疑心暗鬼になって憎みあい、戦いあった末に死んで焼かれて灰になっていったことか

もう沈黙した方がいい

もし心静かな状態を望むなら多くのことにかかわってはいけない(デモクリトス

これはほんとうに必要か?

疑いや憎しみをもたずにスタンスをとる

腹を立てる人にわずらわされるな

もっとうまくできる人にやってもらうことにする

自分の魂を大事にせず、他人が自分をどう思うかに幸せを求めているとは

残された時間を浪費してはならない

全方位に注意を向けるのはやめる

混乱から身を守る

自分のために時間を作ってなにか価値あることを学ぶ

周囲の環境のせいで自分の心がかき乱されるときは全身全力で自分自身に戻り自分本来のリズムからはずれてしまわないように

内面の調和に戻っていくこと

自分が思っていることよりも隣人が自分のことをどう思ってるかの方を重視しがち

その手の人はそういうことをするのは当然

そういう人なのだと受け止める

あっという間に君もその人も死んでしまう

そして君の名前も、彼の名前とともに跡形もなく

消え去ってしまう

苦痛には限界があり苦痛を増大させるのは想像力だということを記憶さえしておけば苦痛は耐えられないものでも、永久に続くものでもない(エピクロス

過ちを犯した人に寛大であれ

神々もまた、そういう人たちには寛大である

生きているものはいずれ死ぬ

医師、占星術師、哲学者、英雄、暴君、都市

すべて死んでいった

すべては消滅する

消滅する様子を見ていた人もまたすみやかに消滅していく

部分が変化して入れ替わっていくことで宇宙全体は常に若々しく

元気はつらつとしている

全体にとって善いことは常に美しくて時宜にかなっている

5年生きても100年生きても本質は同じだ

宇宙の法のもとではすべての人が同じ扱いを受ける