陰翳礼讃91 爪痕 ~努力は報われるのか論争に思うこと

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」f:id:sinn156:20210728015719j:plain

 

内村選手が鉄棒から落ちた

誰より訓練をして、人生でそれしかないという極限の状況まで

自分を追い込んで、練習では何百回も当たり前に成功しているはずの

技なのに・・・絶対落ちてはだめなたった一回だけの日に落ちるのである。

そして選手生命が終わる。

 

こういうときに王貞治

「努力は必ず報われる、報われない努力があるとすれば、それはまだ

努力とは呼べない」という訓話の白々しさを感じる。

 

明石家さんまは、報われると思う、見返りを求めると

腹が立つことがあるので、好きだからやってるで終わるのがいいと

処世術を言う。

ただ、これも、やはりなんかちょっと違う。

 

強豪相手のフルスイングの「金属バット」を超超豪速球で

へし折った女子ソフトのピッチャーの気迫は、若き無敵同士の

相手を倒すための究極対戦だから熱くなる

そこに好きだからというような生ぬるさはない

 

国と歴史を背負っての真剣勝負に負けた中国卓球選手の

「僕達競技者は、結果こそが全てで、それまでのプロセスは一切

関係ありません」と言い切るストイックさには、

見返りなしでやってるなどという飄々さでごまかす素振りは一切無く

だからこそ尊い

 

今の時点の僕の考えに一番近いのは、為末大さんの

人生の前半は努力で夢は叶うでいい

でもどこかのタイミングで、それをチェンジしないと

いずれ何かを呪う生き方になる

これだな

 

少なくとも十代のうちは斜に構えず

「世の中は公平で理不尽ではない」と信じれる人で

居てほしいし、

十代の子供を持つ大人になる頃は

世の中に理不尽は普通にあるという事を認めた上で、

好きだからやってるで終わる生き方を目指したい