赤い写真

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赤い写真は人間の知覚に別の角度から光をあてることで、
日常とは少し違う世界へと誘い込むための媒体であり、
見える世界と見えない世界の狭間に生きる私達が作品を通じて
新しく体験する彼岸の境界を観る為の装置でもある。

また、日常の不可視の現象を記録したこれらの赤い光は、
記憶や夢のように、実体を欠いた虚像、
あるいは陽炎や、白日夢といった、幽玄美の残像の把握から
連続的に変化する映像の視覚化を意識している。

吉田重信



忍び込んでくる現代病ともいえる
日常的な心身症を映像によって描き出している。
そういう事態の頻発するいびつに歪んだ現代を映像で指し示す。
作者自体が心身症のとりこなのだ。

モノがこれほど不確実にみえるというのは、その痕跡でもあり
証拠でもある。
桑原甲子雄
「光と影」