

正体を深めるためのアイテムです。
これ、最初に書かれたのが1970年代
もう、50年も前の作品なんですね。
水木しげる氏の画力はすさまじく、
つげ義春氏と同じく、陰鬱な町並みの描写が
はかなくも、美しいです。
一コマ一コマを拡大して、
額に入れて鑑賞に耐えうる描き込みです。
これぞ、独りの夜にゆっくり味わいたい、
良質のホラー漫画ですね。
娯楽要素的には断然面白いのですが、
こちらの本は歴史書的な価値が強いな。
一番印象的だったのが、
ヒットラーって、いろんな事を何度も挫折して、その都度、
平気で数年間耐え忍んでいたんですね。
自分だったら、もう、ここで心折れて再起不能だったと
思うようなシーンでも、悪魔的に立ち上がります。
ちょい貧乏とか、嫉妬とか、
そんなしょうもないレベルではなく、
失明するかも、死ぬかも、というレベルの
普通の人間なら、そこで人生終わりというクライシスです。
その中で、闘争へのモチベを
維持し続けれた原動力ってなんだったんだろうな。
金とかではないのは明らかです。
努力ではなく、天然・・・これぞ狂人たる所以か。
ドイツの人々が、今の自分たちの心にだって、必ずある
「狂気」として厳格に戒めて、封印し続けているのも
うなづけます。