光と影#52 もう、生まれ変わらない

気持ちよさへの依存から苦しみが生まれる

ありとあらゆる苦しみは何かに依存する事を縁にして生じる

とっかえひっかえ別の物に依存しては自分から苦しみに近づいてゆく

苦しみが生まれる元凶を見破ったなら、最早依存症にかからぬよう、脳内麻薬がぬけていくのをじっと待つ

自分の心を見張る意識のセンサーを鋭く光らせて、

快不快に引きずりまわされる心をコントロールする

知識から自由になる

様々な知識をむやみに増やすことによって記憶のメインメモリー

情報のノイズで埋め尽くされる

知らず知らずのうちに知識に支配される

そのフィルターを通してしか物事を感じることができなくなり、

いつのまにか不幸になってしまう

頭を混濁させるこざかしい知識のフィルターを離れて

ものごとをありのままに感じるように

他人の賛否から自由になる

どれだけ風が吹いても

やまは揺らぐことが無い

山のごとく風を受け流す

さらりと聞き流し、

心はどっしり揺るがず

平静なまま

快感と苦痛に支配されなくなったら自由が残る

快楽が欲しい、苦痛はいやという

欲望をすてているなら

心は落ち着いていられる

筏はとても役に立ったから

捨てずに背負って歩いてゆこう

そんなお荷物を抱え込んでしまっては

まともに歩けはしない

使い終わったなら

惜しむことなく

捨て去るように

空を自由に飛ぶ鳥の軌跡は透明で

目に見えぬ

他人には理解しがたいにしても、

空となる事で自分自身を乗り越える

人生の黒幕よ

おまえの正体は

「欲しい、欲しい、足りない足りない」と騒ぐ生存本能だと

私は最早見破った

おまえが生まれ変わりの建築材料に使う

煩悩も無知も

全て破壊しつくした