マッチを何秒つけられるか そして怪談

中1化学の学習の幕開けはなんと言っても炎である。

私が中学一年の時、初めての理科授業は、一本のマッチの炎から始まった。

80歳近い高齢ながら、高身長で不思議なオーラの塊を感じさせる。
漫画の中の博士そのもので、これから、この先生から学ぶのかと、
見た瞬間から、ワクワクさせられたもの。
見た目は本当に重要。

その炎を見ながら、科学のとりこにさせられて、10数年後、
自分も科学を子供たちに教える仕事をするようになった。


今日は、まず、部屋の明かりを落として、
生徒達にマッチの炎が何秒持つかの訓練。
同時に、ろうそくの炎との違いを記述、スケッチ。

丁寧に軸の最後まで燃え尽きたマッチをノートに貼らせ、
友達のタイムもメモさせる。

マッチは、適当に点火すると、10秒持たない。
横にするとあっという間に燃え尽き、上にすると、すぐに自然鎮火。

がんばれば、なんと、1分以上持つということを、説明、実演し、
皆で、教室を煙まみれにしながら、演習。


その後はお楽しみ、
部屋の明かりを落として、ろうそく一本だけにして、
怪談で楽しむ。

怪談は、ストーリーそのものより、
周りの雰囲気が重要。
ろうそくの頼りないけど、唯一の明かりは、
炎のありがたみを、再認識させるのに最適。

PSPの古いソフトで
「アドベンチャープレイヤー」に入っている、ショート怪談ノベルをネタに
みんなで囲んで朗読してあげる。

時々ゆれる紅い炎で、照らされている生徒達を見ながら、
神妙に語り始め、みなの顔がこわばっていく様子を見るのが
楽しくて仕方がない。
怪談の途中で、ちょうどロウソクが燃え尽きて、糸のような煙を上げて、
芯だけが机上に残る。

その様子をチラッと観察させた後、
真っ暗闇の教室のまま、皆で、怪談の最後の「オチ」を楽しむ。

私は、この遊びの時間も含めて、科学の授業だと思っている。