自分が、中1の時に習った理科の先生はもう、
80歳前の伝説の先生でした。
ドアをガラッと開けるなり、
コントに出てくるような、よれよれの白衣に、
目玉の形が変わるぐらい分厚い、まん丸のビン底めがね。
黒光りした顔で、いがいにも長身の大男の老人。
みんなとうぜんどよめく。
自己紹介も何もせずに、大きな声で
「オハヨウ!」
って言った後に、おもむろに、徳用マッチを教卓の上でする。
「よくみる」
といって、ご自身も、無言で、じ~と観察される。
めがねに、二つ炎が揺らめく。
炎が、指先ぎりぎりまで、じわじわ燃え進む中、し~んと緊張が走る。
「あつぃ!」
と裏返った高い大声で、マッチをほりあげる!
皆何が何だか分からずに、大爆笑
その後、にやっとされて、ゆっくりと、
「なんで、炎はあついんだ?、なんで炎は明るいんだ?」
と、皆に問いかけられながら教室全体をみまわされる。
テスト前にな、こうやって、鉢巻を巻いて、
燃焼とは、燃焼とは・・・って、暗記するんじゃないんです。
実際の、炎をよ~く見る。そして、よく考える。
なんで、熱いのか考える。
よく見て、よく考える
そしたらな、理科はむちゃくちゃ面白いんですよ!
○○先生(ご自身のお名前)の授業を受けるとな、
一生忘れないんですよ!
・・・・そりゃもう、一瞬で先生と、理科のとりこに!
この後、毎週、毎週、それはもう、楽しみの連続。
どんなに疲れていても、
いつの間にか、先生のペースに乗せられる問いかけ。
生徒側だった俺はなぜ、そんなにわくわくしてしまうのか、
気付かなかったんだけど、自分が理科を教えだしてはじめて分かる
裏に潜む、天才的な演出の数々。
もうなくなられて、十数年。
いまだに、理科講師として、大目標で、超えられない大きな壁です。
今年も、頑張ります!