フォトグラム#14 氷河期負け組・令和低所得者層を受け入れた先にあるもの

久々に嫌がられるのを覚悟で有休を所得して連休の休日初日前夜、咲きかけの夜櫻を撮影しにムッスメのα7SⅡを借りて2時間ほど腹ペコで彷徨う

晩飯を食わずに飛び出たからだ

二時間で戻ってきたのは、バッテリーが尽きたからでその気になれば夜明けまで歩いても良かったな

有休をとるったって、仕事が片付いて暇だからではまったくない

休日のサービス残業をしたとて終わる気配がないので

きっぱりと見切ったというのが正解

超斜陽職種なのでこの数年、この時期はたくさんの仲間が職場から離脱し、残った仲間でやめた仲間の分まで請け負う仕事量アップと引き換えなのに給与ダウンという理不尽が続いている

そしてこの物価上昇である

休みは休みとしてとらないと、仕事の日に頭が動かない

前世の最後の生き残り達は「この忙しい時に休んでてどうすんの」

言葉にはしないが、どす黒い顔の毛細血管で覆われた赤目で正論賛同者を賛美する

実際に倒れるまで「がんばった」社員を賛美し

倒れてない社員に暗に圧をかける

自動で耳鳴りするので、

能面で聞いているふりをするのが随分うまくなった

過労で病気になって初めて休みを許してもらえる

よくがんばった!はい拍手!!

同じように苦しんでいない仲間を恨む

その重圧や空気感に嫌気がさして一人、また一人仲間が去る

なんで、「みんなが」こんな時に君はまだ元気なの?

リアル言葉にはしないが背中が語っている

たった5年で事業規模は五分の一に減った

ドラスティックな改革幸運が起きない限り、ペース的にはもう2年持たない

慣れ親しんだ仕事や、物理的な仕事なら体力で何とかなるが、未知の、そして興味がない新規事務作業を短時間で理解し、正論と、本音の妥協点を見出してギリギリのところを探る連続に心を少しづつ削られる

どんどん気づく

あれも、できていない

これも、わからない

一つ解決しているうちに二つ次の課題が来る

最初は優先順位をつけていたものの、その優先順位をコーディネートすること自体に優先順位をつけないと回らなくなり始めて、いよいよ気づく

どこをやらなくても、流血量は大した事がないか、

やらなくてもなんとかなる事を切り捨てる

その掃除に限られた頭脳のリソースを回すことが今一番重要だと

やった方がいいは全部後回し・・・多分もうやれる日は来ない

先日、大阪で桜開花宣言の日に、森山大道坂口安吾「ango」を思い出す

超お気に入りで、定期的に壁紙にしている1972年撮影の「櫻花」の一枚が唯一収録されている写真集で高かったけどついに注文する

angoの紹介動画を見ていて居ても立っても居られなくなって、自分も夜のストリート櫻を撮ってみたくて深夜に飛び出してみたというわけだ

今日無理やりお別れさせられた、大切だった仲間達とのやり取りを思い出して感傷に耽りながらα7SⅡを夜櫻に向ける

angoつながりで積み本だった「堕落論」を休日初日夕方から読み始める

「堕落」こそが人間の本質であり、そこからこそ真の成長や自由が生まれる

おっ、今の俺に一番いる本やコレ

伝統や道徳が崩壊していく現実を直視し、虚飾や偽善ではなく、人間が自らの弱さを認め、堕落を受け入れることで、はじめて本当の生き方を見出せる

混乱を悲しむのではなく、むしろその中で新しい価値観を築くべきだ

「堕落」とは、人間の弱さや本能を受け入れ、そこから新たな道を見つけることを意味している

「堕落」の肯定

旧来の価値観を否定し、人間は堕落しながら生きるものだと認める

伝統や道徳の虚構性

「道徳」は人を偽善に追い込み、真の人間性を抑圧してきた

新しい時代の生き方

既存の価値に縛られず、自分自身の生を見つけることが重要

現代日本では、格差社会が拡大し、低所得者層は社会の競争から取り残された存在として見られることが多く、自己責任論のもとで厳しい立場に置かれる

坂口安吾の視点から見れば、単に「負け組」として嘆くのではなく、その状況を受け入れ、そこから新たな価値を見出すことが重要であるという

「堕落」は逃げではなく、自分の新しい生き方、自分なりの価値観を見つける事

勝ち組に合わせた伝統や道徳の呪縛から解放される事

「成功」「富」「競争」への執着を手放し、やりたい事を大切にする事

「比較」を手放し、自分の考える幸福を再定義・探る事

多様な生き方が可能になり、勝ち組のレールに乗らなくてもなんとか生きていける

古い価値観から解放された新しい生き方を探る時が来た