帰ってきたヒトラー カリスマはいつだってダークヒーロー

イメージ 1

喜劇に見せかけての格好シリアス映画だというのは
事前知識で少し知っていましたが、
なるほど、
ヒトラー最後の12日間とコンビで名作といわれるだけの
作品です。

演説シーンがとにかくカッコイイ。
沈黙の力、照明の力、
ジェスチャー、言葉の選び方

一つ一つそれなりに重い事象が、大量過ぎて、
それらが取りまとめて慢性化し、漠然とした不安や苛立ちになって
がんじがらめに成っている時代に、
スパッと切れる

「~~ではない、○○である」
「~~は、○○と考える」
「~~をやめて、○○をする」

というメッセージを、演説舞台環境も総動員で
やられたら、そりゃ、折れていた心も奮い立ちます。

基本的に、新たに何かを創造し成功させる事は常に困難で運まかせ、
日常的には、どこかを伸ばすなら、
どこかをへこます必要が有ります。

そして、その「へこます」具体行動として「自業自得」
と片っ端から掃除機をかけるように、片付けていく事=粛清で
理想を成立させていったんですよね。

映画ポスターに、あまりにもアッサリと、非情に「粛清」された
カワイイ犬がいることが印象的です。
狂気の潜在性を強く感じるシーンです。

アニメの中なら、槙島聖護しかり、
カルトならオウムしかり、最終的には
ヒール役として中立者にも、
分かりやすい「タブー」を多々犯すことで
滅びる側になる事の正当性を担うのですが、

誰が見ても「カワイイ犬」と違って、
イメージ外にある、自分の直接の家族でない人が「粛清」される事を
「絶対悪」と認識する事に難しさを感じます。


ヒトラーとナチズムの何が
明確に「悪」だったのか、正直分からなくなってきました。


戦争に負けたのは、自国人命を燃料物資的に半無尽蔵に使うという
無茶苦茶な戦法を行動にうつせたソ連と、
当時から世界中の頭脳、体力ヤンキー達が集まっていたアメリカからの
ダブルパンチが原因で無理やり終わらされただけで、
内部から、ナチズム構想がオカシイから自滅したわけでは
無いですからネ。

Me262も、ヤクトティーガーも、V2も1:1なら無敵だったのに。

解決できない問題には深入りせず、
臭いものにはただ、上手にフタをし続けるのが一番!
作戦で70年来ただけの様な気がします。

この2本のヒトラー映画をこのタイミングで見たのは、
有る意味運命的だったのかも。

「怖い」映画になりました。