聞き間違い

夕方、息子と散歩をしていて、
自身の最近の境遇を
ぐちぐち話してしまいます。

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先に帰るわというつれない態度に
少し拗ねモードで、僕は
すたすた前を歩きます。

分かれぎわ、聞き取りにくい小声で

「独りでいいわけいっときーや」

と。

びりっと、電流が走って、僕は凍りついて、
無言のまま自転車で、ゆらりと西日に向かって
漕ぎ出します。

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祝日だというのに、ガンガンどんどんと熱心な、町工場の稼動音、
ぷんと臭い、畑の堆肥の臭い、複雑でグラマラスでリッチな雲

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20年前に、今の情況は想像できたか、次の20年は、
どうしたいのか。いや、どう「流される」のか。
チャリのペースは完全にフラフラです。

予報では「雨」・・・だといっていた割には、
太陽が結構最後までがんばる日です。
西日の色温度がぐんぐん濃厚に落ちて、
逆光を浴びた「モノ」のエッジの輝きが増し、
影もぐんぐん長くなります。


その光を見ながら、はっと気づきます。


「独りで言い訳言っときーや」ではなく、「一人で夕焼け行っときーや」
の聞き間違えだったんだと。



東の空に、まさかの虹がわき始めます。
なんというタイミング!
最初、極太のものが近くに。
それが、だんだん細く遠くになりながら、完全にアーチ化し始めます。

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路行く人も気づき始め、同じ向きを向いて、携帯を取り出して撮影です。
僕は虹をわき目に、猛ダッシュで家に向かって引き返しはじめます。


この虹を、今からでも、いっしょに見れるか!