プロの撮り方 モノクロ写真

モノクロ写真には、強い憧れがある。

一番古い思い出は、
昔、高校時代に自分が入りたかった写真部の生徒が、
学園祭で出展していた
他の学校の同級生の女の子のモノクロポートレート


机で、片ひじを突いて、外の景色を静かに眺めている
女の子の写真。


そんなふうに、親密に女の子を撮影できる機会と、機材を
両方持っている撮影者を尊敬し、
そして、自分には両方無かった事に嫉妬した。

友達に冷やかされながらも、
大事に、引き伸ばした写真を抱えている様子まで覚えている。

当時の写真部は、経済的な理由から、
必然的にモノクロになっていたんだろうけど、
結果として、あの年頃に感じた独特の感情をいまだに思い出せるのは
それが、モノクロ写真だったからなのかも知れない。


家族をちゃんと撮る

そんな最初の動機で、デジタル一眼を手にして、二ヶ月
今まで、訪れた事も無かった、写真関係のブログの方々の
モノクロ写真作品を目の当たりにして、
ああ、自分でも撮ってみたいと思うように。


そして、今回図書館で借りた
ナショナルジオグラフィックのモノクロ教科書


すごい写真にめぐりあう。
マリオン・E・ウォーレン師の「チェサピーク・ベイ・ブリッジ」

イメージ 1

小さいテキストの小さい写真なのに、
唖然として、しばらくの間、シーンと見とれてしまう。

少し落ち着いた頃、その写真を撮影する背後に潜む無茶苦茶高度な技術と、
練りに練ったアイデアが分かりだし、こりゃ~すげぇ~~と、一人興奮(W)

一年に一度の撮影チャンスを待つ緊張感・・・すごいだろうな。

その写真とは、
ある意味、対極の、予期せぬ、とっさの瞬間を永遠に封じ込む事に
成功した、著者のリチャードオルセニウス師の傑作

最後のページの女の子二人組み

イメージ 2


にも、強烈に刺激を受ける。

モノクロ、撮ってみたくなった。


以下、プロ撮りの私用メモ書き
同じような駆け出しの方に斜め読み用として、参考になれば。


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特別なものの見方
色彩があふれる世の中で、モノクロは被写体の形を強調し動きを永遠に閉じ込める

想像力と視覚化、二つの課題
イメージをモノクロでとらえる事
コンセプトを写真に仕上げる技術をマスターする事

想像力を視覚化する手順が無ければ、道半ばで終わり
ベテランは、前者で苦労しだす。

偉大な写真家は、ルール無視じゃないと好奇心が消えてしまう。
それは、天賦の才
そうでない多くの人は、地道な努力こそ大切

面白いと思ったものを撮るだけ。
自分の勘で行動して、いつもそれでよい写真が撮れる。
「直感に従え」・・・理論学習と並行して、とにかく、やってみる!

情報の波におぼれない。
実際に写真をとりながら、ある程度の難所のみ、ガイドを頼る

高感度・・・コントラストのはっきりした、粒子の粗い写真
濃い影と、力強い線が、街頭写真に向く

時を経ても、印象に強く残るのはモノクロ
芸術写真分野でも、美術品としての商品価値は、モノクロの方が高い

モノクロの被写体
夕焼けが美しい
紅葉が綺麗

コレだけしか興味がないならモノクロには向いていない

風景写真
何を写そうとしているのか
画面の予想外の位置や中心からずれたところに重要な
要素を持ってくると、緊張感が出る
導線・・・フェンス、カーブ、家並み

朝もや、吹雪・・撮影する気がわいてくる
モノクロは、悪天候や光が当てにならないときこそ力を発揮
イエローフィルター・・・晴れた日の雲を強調

原則とココロの感覚

見た目の混沌から、秩序と形式を見出す

撮影位置が重要。
フェンスをよじ登る気持ち。

大胆に構図を組み立てる=今とって後で考える

カメラを使わずに見る訓練

極端な光の下で撮影
満月で露光

モノクロは気が散らないので、決定的瞬間を見つけるのに有利


カラーは期待通りの色に仕上がらない
色に気をとられず、明暗と構図で表現できる。
派手な色に被写体が埋もれない

真昼には撮影しない
曇りや、木陰はいい。

何かを感じたら即そのばで マリオン・E・ウォーレン
チェサピーク・ベイ・ブリッジ ムーンライズ vsアンセル・アダムス ヘルナンデスの月の出
一年に一度だけ

低い位置からの光は、影だけでなく、
濃淡も綺麗に出る。

ポートレートは北からの窓から入る光か、ストロボをソフトボックスで

写真は被写体が少ないほうが
語るものが多い

霧の中の塔

被写体の暗い部分をよく見る

人物は、野生動物と一緒
ゆっくり近づいて、警戒心を与えない

いつシャッターを切るのか
分からなくなるまで待つ

二日過ごして、信用を得てから
イメージをやっと撮れる

常にカメラは持ち歩く

ヴューカメラ・・・被写界進度の深さ

光の質
曇りの日の森の地面 濃淡のすべてが写る
現像時に、トーンを決める

日陰は、ポートレート最適
荒天・・・チャンス

コントラスト・・・明暗の度合い
明るい部分と暗い部分の違いがきっちり分かれたもの

トーン・・・全体的な明るさ
両方、工夫して、強調する事

私のライカは棚に飾ってある
生き残りをかけるなら、その事に気づかなければならない
デジタルで、フィルムでは見えない世界が見えるように
北向きの窓に近づき、
三十度の角度で振り返る

プリンターはエプソン
顔料インク
露出はヒストグラム

人物が入ると、たいていおもしろみが増す

グレートーンカーブ
S字 コントラスト増

モノクロなのに、カラーインクが重要

イデアが尽きたときは、写真集

仕事にあったカメラを
常に携帯しておく事。一瞬の時を永遠に収める

技術とココロの声のバランス

ハイビジョンテレビの画質がスチール写真を凌駕する時代。
今後どうなるか分からない。

この世界に偏在する美は
人間の表現力という強大な力と結びついて、
大勢の人の目に留まり、共有されるのを待っている
つかのまの人生において
視覚的な要素や、瞬間ほど強烈に時を閉じ込めるものはない。
そして、モノクロ写真ほど、それに適した表現法はない。