上皿天秤で遊ぶ

上皿天秤は本格的に習うのは中学一年。

こういう計測道具は、実際に薬品を図る必要があるという
「使用意図」
があるから、使い方も身につくもんだが、
ほとんどの中学校、あるいは塾では、実物を使わず、
操作手順を「暗記」させようとしている。

図りたい重さがわかっている時と、
重さが不明なものを図る時で、
分銅をのせる皿が変化する。
また、ピンセットの持ち方は、分銅と、板分銅では
逆になる。
このあたりを、「丸暗記」する授業はすさまじくしょうもない。

かといって、上皿天秤の本物は案外高価
メンテナンスも必要で、本体がさびたり、すぐに分銅などが紛失する。
今は、電子天秤みたいに便利な道具も多い。

ただ、電気をまったく使わず、
カニカルな動きで、2g~100gまでを、1g刻みで、
たった数個の分銅の組み合わせで正確に計測可能な
先人の発明品は侮れない。

薬包紙をしいて、
かちゃかちゃと静かな音を立てながら、上皿の分銅をピンセットで
取り替える。
食器以外持つ事のない手に、ピンセットのヒンヤリ感は印象的。
「かちゃかちゃ音」が、案外研究しているムードを
サブリミナルのようにかもし出す。

そういった体験をうちの塾では、小学生一人ひとりにさせるのだが、
こちらの想像以上に興味を持って取り組む。

はかり取るのは、牛乳と、ペーストの量の分量を
間違えるとちゃんとできない「フルーチェ」で練習。

成功した後、生徒皆でよく冷えたデザートを食べる。
教えているほうも、習っているほうもとても楽しい時間。